THA BLUE HERBはMCのBOSS THE MC、DJのo.n.oからなる2人組のグループであり、HIPHOPが盛り上がりを見せてきた1997年に札幌で結成されました。
リリックのメッセージ性、曲のクオリティの高さから、長きに渡り日本のHIPHOPシーンを牽引する存在です。
商業主義とも取れるHIPHOP業界に対し、痛烈な批判も行なっており、特にライムスターとのBeefは業界では常識となっています。
彼らの作風も時代と共に変化しています。また何故札幌の地にいながらブレイクを果たしたのかも気になるところです。
この記事では
- THA BLUE HERBのメンバーや作風
- オススメの音源
- ライムスターとのbeefについてご紹介します。
THA BLUE HERBのメンバー
札幌市在住のHIPHOPグループTHA BLUE HERBはMCのBOSS THE MC、DJのo.n.oの2人からなるグループですが、ライブでは更にDJ DYEが加わります。
1人ずつ詳しく紹介します。
BOSS THE MC(ポス・ザ・エムシー)
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MCネーム | ILL-BOSSTINO / BOSS THE MC |
---|---|
本名 | 清水和之(確定情報ではない) |
出生 | 1971年 |
身長 | 180cm(STILL STANDING IN THE BOGより) |
出身 | 北海道七飯町 |
北海道七飯町出身。七飯町は函館の隣町です。
プロフィールはあまり明かされておらず、名前の由来は不明です。
本名は清水和之と言われていますが、確定情報ではありません。
身長はSTILL STANDING IN THE BOGのリリックより180cm、生年月日はMotivationのリリックから1971年と推測されます。
函館北高校(現在の市立函館高等学校)を卒業後、札幌大学に進学する為、札幌に移り住みます。
すすきののキャバクラやクラブで流れるHIPHOPにのめり込んでいき、NASの「イルマティック」を日本語訳した歌詞を見て衝撃を受けます。
別名義でILL-BOSSTINO(イル・ボスティーノ)を名乗っていますが、これはTHA BLUE HERB以外の作品で使われる名前です。
o.n.o(オーエヌオー)
トラックメイカーです。
プロフィールは名前の由来も含めて不明です。
THA BLUE HERBの全てのサウンドを担当しています。
様々なジャンルを取り入れたドラムビートは独自のグルーヴを生み出し、THA BLUE HERBのサウンドを唯一無二の存在にしています。
THA BLUE HERB以外の活動も積極的に行い、2004年にはフジロックに出演し、2007年にはMETAMORPHOSEと言うダンスミュージック中心のフェスにも参加しています。
2011年にはミニマルテクノプロジェクトonomonoを始動し、定期的にCDをリリースしています。
DJ DYE(ディージェイ ダイ)
1999年頃からTHA BLUE HERBのライブDJ として活躍しており、実質的なメンバーと言って差し支えありません。
本名や名前の由来は不明です。
o.n.o同様にビートとエフェクトの評価も高く、精力的にCDをリリースしています。
札幌を拠点として活動を続け、札幌のクラブハウスPRECIOUS HALLにて「LINK」に参戦する等の活動を続けています。
THA BLUE HERBの経歴
北海道札幌市を本拠地に1997年に結成されたTHA BLUE HERB。
20年以上シーンのトップを走り続ける経歴を紹介します。
THA BLUE HERBの名前の由来
THA BLUE HERBと言う名前はBOSSが3秒くらいで考えたと語っています。
当時何を考えて付けた名前かは覚えていないそうですが、THE BLUE HEARTSも好きだったそうです。
「THEのEを「A」に変えたらHIP HOPぽい」くらいのノリで付けた名前だったようです。
当時のBOSSはノリで生きていたと語っています。
1998年デビューから知恵の輪まで
THA BLUE HERBは1998年に「SHOCK-SHINEの乱」でデビューします。
知恵の輪でデビューしたと思いがちですが、実は違うのです。
このシングルは無名にも関わらず1000枚刷って完売しています。
そして2枚目に出したシングル「知恵の輪」が転機で全国区に。
「DJ KRUSH」がクラブでプレイした事で広まっていきます。
DJ KRUSHがプレイする前のBOSSとonoはCDを刷る為の借金が膨らんでおり、給料が出るたびに借金の支払いをする生活でした。
KRUSHのプレイ後にCDの発注が大量に舞い込み生活は好転していきます。
ファーストアルバム発表
1999年ファーストアルバムとなる「STILLING,STILL DREAMING」を発表。
2002年にはシングル曲も収録されたボーナスディスク付きで再発行されます。
フジロック出演
2000年にはフジロックフェスティバルに出演。
「ILL-BEATNIK」を披露したライブは伝説になっています。
その後も定期的にフジロックには出演し続けています。
THA BLUE HERBの作風
この3、4年間の言いたかった事を全部録った たった1人でここまで言い切った奴は 世間知らずな俺の知る限りだが… 昔の俺以外いねえ 他人様じゃねえ 1番燃えるのはいつだって対俺 ま ここまで来ちまったら昔の俺も大した事ねえ 空が天井 俺が直々一気に上書きしておいたから#TBH_PHASE5 pic.twitter.com/D3ozg7daK2
— TBHR公式 (@tbhr_sapporaw) June 24, 2019
THA BLUE HERBの特徴はBOSS THE MC(以下BOSS)が生み出すメッセージ性の強いリリックです。
BOSSは高校を1年休学して配管工として働いたり、CDをリリースする為に、サラ金から金を借りる等、様々な人生経験を積んでいます。
「HIP HOPは社会の闇を炙り出し、それに吠えるものだ」とBOSSは述べており、その使命を果たすかのように幅広いメッセージを発信しています。
HIPHOPの東京至上主義への批判や、世界情勢を取り巻く問題等を独自の目線で切り込んでいます。
また日本のHIPHOPではなく、90年代に代表されるBiggie(The Notorious B.I.G.)やNAS、Gang Starr等をルーツとしています。
チャートで好セールスであったHIPHOPに違和感を感じたリスナーからの支持は大きかったようです。
結成から20年が経過し、BOSSのリリックも変化が見られます。
社会に対する痛烈な批判を続けた初期のボイスはガナリ声が特徴でありo.n.oのトラックよりも自らの主張ありきの曲が目立ちました。
キャリアを重ね、日本も3.11等の様々な出来事が起こる中で、BOSSのリリックは、皆の中にある漠然とした不安や陰鬱とした気持ちを代弁するものが増えていきます。
ライムスターとのBeef
THA BLUE HERBとライムスターとのbeefはHIPHOP界隈では常識です。
両者が対立したのは、HIPHOPにおける考え方の違いが原因です。
ライムスターは大衆にも分かりやすいHIPHOPを、THA BLUE HERBはあくまで地元を拠点としてアンダーグラウンドなHIPHOPを世に発信します。
相容れない両者の主張はついにbeefへと繋がっていきます。
2001年にライムスターが「ウワサの真相」で当時ファンが宗教的とも揶揄されたTHA BLUE HERBに対してbeefをします。
BOSSはそのアンサーを「SELL OUR SOUL」の2曲で返したとされています。
実際にdisがあったと公言はされていませんが、両者は対立関係にあると言うのは当時のHIPHOP界隈の共通認識でした。
その後は特にbeefはありませんでしたが、2010年に事態はまた動き出します。
それは宇多丸がラジオで発した「今やバイトしないで食っていけてるラッパーはBOSS THE MCくらいのもんですからね」と言う発言が発端です。
それに対しBOSSは3月には自分のホームページで知った口を聞くなとライムスターに対して反論します。
とは言えライムスターの新曲「ONCE AGAIN」を称賛もしています。
後日両者は飲みに出かけ、対面する事で和解します。
2016年のSUNSET LIVEで両者はタイムテーブルで続けてライブを敢行しました。
2019年7月の宇多丸のライブにBOSSが電話出演しています。彼らの対立は完全に収束したと言って良いでしょう。
THA BLUE HERBのおススメ
THA BLUE HERBのおススメの音源を紹介していきます。
STILLING, STILL DREAMING
1999年にリリースされたTHA BLUE HERBの原点と言えるアルバムです。
東京至上主義に対する痛烈な批判が重ねられており、名盤として人気があります。
DJ KRUSHがこのアルバムにも収録されている知恵の輪をクラブでプレイしたことで、人気に火がつきます。
このアルバムは東京から離れた地から、HIPHOPの新たな切り口を見出した作品です。
THA BLUE HERB
2019年に発売された彼らのセルフタイトル。
CD2枚組からなり収録曲はなんと全30曲です。
これはBOSSとo.n.oがずっと作りたかった2枚組のアルバムが遂に作られました。
47歳となったBOSSの人生観、伝えたい事がこのアルバムに凝縮されています。
まとめ
THA BLUE HERBのメンバーのプロフィールや作風、ライムスターとのbeefや音源について説明しました。
メンバーはBOSS THE MC、o.n.oからなり、ライブにはDJ DYEが加わります。
札幌を拠点として活動しており、BOSSのメッセージ性の高いリリックは多くの支持を集めています。
一時はライムスターとの確執が噂されていましたが、今は和解しています。