Kダブシャインは日本を代表するラッパーの一人です。
Hip-hopの文化を日本に根付かせた一人でもあります。
なかでもDis(disrespect=ディスリスペクト=蔑むこと)を楽曲によって広めたことはあまりにも有名。
そんなKダブシャイン(以下、Kダブ)のプロフィールや生い立ち、過去の言動を、Kダブファン歴15年以上の筆者が紹介します。
Kダブシャインのプロフィール
MCネーム | Kダブシャイン(以前はK DUB SHINEと表記している時期もあった) |
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読み方 | ケーダブジャイン |
本名 | 各務貢太(かがみこうた) |
生年月日 | 1968年5月8日 |
学歴 | テンプル大学中退 |
所属 | KGDR (キングギドラ) Atomic Bomb Crew (アトミックボム・クルー) radio aktive projeqt (レディオ・アクティブ・プロジェクト) |
ファッション | ストリート系 |
SNS | Twitter / Instagram |
KダブシャインというMCネームの由来
本名の各務貢太(Kagami Kouta)から、頭文字Kがdouble(ダブル)でKダブ。
シャインの部分はラップを始めた当初のMC SHINEが由来です。
MC SHINEの由来は「忌野清志郎にインスパイアされてダブルミーニングが絡んでいる」と「第三会議室」(スペースシャワーTV)で言っていたと思います。(しかし現在はアーカイブが削除されていたので、確認ができませんでした。)
彼女や結婚・家族
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2021年現在、彼女がいるかどうかは不明。
以前、宇多丸(RHYMESTER)と「第三会議室」(スペースシャワーTV)にて話題に挙がることはありました。
しかし、2016年以降の特番では話題に挙がることも少なくなった印象です。
結婚は非公表。
そのため、一人暮らしが予想されます。
愛犬家のため、Instagramではたびたび、チワワの”ももちゃん””みーくん”が登場します。
生い立ち
幼少期から母子家庭。
母親と疎遠になっていた時期があります。
しかし、母親への尊敬は忘れていません。
楽曲『今なら』では幼少期の自身の病状、少年期の生活、大学中退の反省、母への感謝を綴っています。
また、楽曲『マキシマムリスペクト』は世間の母親をテーマに、全ての女性へリスペクトを送っています。
性格
性格は、一言でいうとお茶目。
普段の会話では笑いを誘う場面が多く感じられます。
話題が戦争や政治などの社会的なものになると目つきが変わり、真面目で日本思いな一面もあります。
趣味
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趣味はアメリカのhip-hop鑑賞。
また、映画や戦隊もののサブカル鑑賞です。
仮面ライダーやおジャ魔女どれみが好きなことも公言。
映画について、宇多丸と議論を交わすことが多く見受けられます。
特にkダブが観ていない映画を宇多丸が勧める場面がよくあります。
なお、おジャ魔女どれみ好きが高じて、2020年には映画『魔女見習いをさがして』に声優として出演を果たしました。
Kダブシャインの過去・経歴
hip-hopとの出会い
出会いは15歳頃。
洋服屋の店員と仲良くなり、その店でかかっているカセットテープを借りたことがきっかけです。
そのカセットテープの中にRUN DMC(ニューヨーク出身hip-hopグループ)の曲が入っていました。
その後、徐々にラップとhip-hopの違いに気づき、hip-hopにハマっていったようです。
hip-hopを始めたきっかけ
Kダブが自身でhip-hopを始めた時期は、高校時代。
交換留学によってアメリカへ留学し、生のhip-hopに触れたことがきっかけ。
そのときに感じたhip-hopを、「日本でどう広めていけるか」「日本でどうやれば面白いか」を考えました。
hip-hopが与えた影響
Kダブの考えるhip-hopの面白い点とは、hip-hopには”黒人差別をなくす力”を持っていた点。
そして、「hip-hopにはこんな力があるんだ…この力で日本も良くなるかもしれない」と考えました。
初めは英語を使ってラップをスタート。
留学先のルームメイトに何を言ってるか教えてもらいつつ、自分でも徐々にリリックを書き始めました。
日本語でのラップ
英語でラップしているなか、留学先の友人からの一言で考えを改めます。
「日本語でラップしないの?」
ラップを始めた当初、「日本語特有の文法では、ラップはできない」と感じていました。
なぜなら、日本語の文末は「ですます」で終わるため、韻が思うように踏めなかったからです。
友人からの一言により、真剣に考えるようになった日本語ラップでの韻。
ある日、「倒置法や体言止めなどの詩的な表現を使えば、日本語でラップができる」と気付きました。
この気付きがあったおかげで、日本語でラップすることを始めます。
ZEEBRA、DJ OASISとの出会い
Kダブが17歳のときに14歳のZEEBRAと出会ったのはストリート。
「地元の街に繰り出す、先輩後輩のような関係だった」とZEEBRAは語っています。
その後、ZEEBRAの紹介でDJ OASISに出会います。
その際、KダブはDJ OASISに自身のラップをいきなり披露。
「おぉ…こういう奴いんだなーw」とDJ OASISは感じたそうです。
三人が出会い、間もなくキングギドラを結成。
結成から2年後、『空からの力』を発表。
当時、語尾の1〜2音のみ韻を踏んでいた日本語ラップ界に革命を起こしました。
日本語ラップ界に革命を起こした背景
留学中のKダブがZEEBRAをアメリカのオークランドに呼び、hip-hopの文化を二人で学びました。
そこで、黒人を見つけると二人でラップを披露していたそうです。
本場でのhip-hopを体感し、本場のラップのフローやライミングを学習。
その後、Kダブは独自の方法で日本語ラップで韻を踏むことを発明し、電話でZEEBRAに日本語ラップを聞かせたといいます。
ZEEBRAはKダブのラップに感銘を受け、アメリカのラップのフローやリズムに日本語を組み合わせ、ZEEBRAなりの日本語ラップを作成。
二人で切磋琢磨していきます。
このような経緯でキングギドラとして、今までにない日本語ラップを完成させました。
主な発表曲
発売日 | タイトル |
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2000/06/25 | 天国と地獄 |
2003/11/27 | オレはオレ |
2004/02/04 | 今なら |
2004/04/28 | 正真正銘 |
2008/08/13 | フロムNYシティ ~for the movie~ 【MC鬼刃 BY Kダブシャイン】 |
2012/09/19 | 沈まぬ太陽 |
発売日 | タイトル |
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2006/03/09 | いつもの feat. Jun-GMC 【iTunes】 |
2007/06/13 | ソンはしないから聞いときな |
2014/03/19 | 物騒な発想 (まだ斬る!!) feat. DELI 【Kダブシャイン+宇多丸】 |
2014/05/30 | O.R.E. |
2016/04/27 | 化学反応 #kgdr (feat. Zeebra & DJ OASIS) |
2016/06/15 | ザ ジャッジメントデイ |
2016/12/07 | オレの名は。 |
発売日 | タイトル |
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1998/12/23 | 説明不要 【Mini】 |
2001/09/19 | SAVE THE CHILDREN 【Mini】 |
2006/08/30 | 自己表現 【iTunes】 |
2006/10/25 | 自己表現 【CD】 |
2010/01/27 | 自主規制 【EP】【iTunes】 |
発売日 | タイトル |
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1997/12/10 | 現在時刻 |
2000/12/13 | 生きる |
2002/10/17 | 凶気の桜 【Soundtrack】 |
2003/01/29 | 世界遺産 【Best】 |
2004/07/14 | 理由 【初回+DVD】 |
2005/11/02 | 理由 SPECIAL EDITION 【2曲追加】 |
2010/01/27 | 自主規制 【Best】 |
2016/12/21 | 新日本人 |
発売日 | タイトル |
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2003/09/18 | 世界遺産 THE BEST OF K DUB SHINE MIX CD+DVD |
交友関係
RHYMESTER宇多丸(第三会議室で共演)
あばれる君(ワタナベエンターテインメントの先輩にあたる)
平野ノラ(ワタナベエンターテインメントでほぼ同期)
*「事務所で特に仲が良いのはこの二人」とインタビューで回答。
窪塚洋介(映画『狂気の桜』で音楽監督を担当したことから)
*窪塚が自宅マンションから飛び降りた後、入院中に電話をかけたそうです。
その際、窪塚から「急ぎすぎちゃいましたねぇ」と言われた、と公言。
東幹久(中学校の後輩)
*第三会議室内で「みきひさ」と呼称。
市川海老蔵(サウナの件のみ)
*渋谷のサウナで騒いでいる市川海老蔵に対し、「いい加減にしろ」と注意。
その後、歌舞伎関係者から「海老蔵を殴ったのはKダブでは?」と言われて困ったそうです。
オススメの音源7選
ここまで、経歴や過去の言動を紹介しました。
最後に「Kダブ聴くならこれ聴きな!」というもの、7選を紹介します。
〜ECD『ECDのロンリーガール』〜
硬い韻、「ロンリーガール」というテーマに沿った内容、客演でありながらKダブシャインの才能が集結。
「Rolexした男に指輪買わしたはずが、繋がれる首輪」というリリックに、韻と孤独な少女の寂しさを合わせています。
このリリックだけでなく、バース(ラップしている部分)全てがパンチライン(印象に残る言葉)です。
キングギドラやKダブシャインに興味がなくても、hip-hop好きなら是非一度聴いてほしい一曲。
〜『スタア誕生』〜
キングギドラ『空からの力』より。
ストーリーテリング(物語)の最高傑作。
日本のhip-hopの創世記に、フィクションでありながら聞き手がその場面を想起できる数少ない作品。
「駐車違反、スピード違反」というリリックは”駐車”と”注射”、”速度”と”薬物”のスピードをかけた、ダブルミーニングになっています。
言葉遊びが得意なKダブらしさの詰まった作品であり、「ラップでここまでできんのか…」と驚かされる一曲。
〜『ソンはしないから聞いときな』〜
まさにタイトル通り。
子ども達に向けた応援ソング、という一言で片付けられない曲。
「車に乗りな、って言ったらね、絶対一人で行っちゃダメ」
「とにかく急いで家に帰るか、すぐ俺に言え」
「俺に言え」はKダブの代名詞です。
『Save The Children』でもフック(サビ)に繰り返し使われる言葉です。
当時のBボーイは皆、「こんな男になりたい!」と思ったはず。
〜『公開処刑』〜
キングギドラ『最終兵器』より。
Kダブを語るにはこの曲を避けて通れないキラーチューン。
なぜなら、当時ノリにノッていたkick the can crew、RIP SLYMEを痛烈に批判したからです。
「俺もBOY-KENとは同意見、あれば話し合う相違点」
「当たり障りのねぇリリックで、言いてえ事なんか意味不明」
「芸能系の聴くと勘狂う、リリックつらい、屁理屈ライム」
…リリック全て書き出したいくらい痛烈。
後にkickやRIPそれぞれのメンバーと和解している様子がわかりますが、KREVAには度々Twitterで噛み付いています。
〜『RGTO』〜
AKLO『The Arrival』より。
AKLO,SALU,H.TEFLONという、若くて勢いのあるラッパーの中に一人レジェンドがいる、という構成。
MVはYouTubeで2021年12月時点で2,000万回再生を達成しています。
MVではAKLO,SALUが学校でヤンキーになっている世界。
映画『クローズ』のオマージュでしょう。
漫画や映画の『クローズ』には先生がほとんど描かれませんが、このMVではKダブが先生役として登場します。
RUN DMCのTシャツ、adidasのジャージにスニーカーがスーパースター、黒板にはアフリカ・バンバータの写真を飾るなど、hip-hopのクラシックを凝縮した形で表現。
「敬虔なクリスチャンにとっての聖書が俺にとってのZulu Nation」
「ギャングもバンダナ脱ぎ輪の真ん中respect Africa Bambaataa Don Dada」
あえて多くは書きませんが、韻を踏みつつ、hip-hopの歴史を学ぶうえで必要な固有名詞を散りばめています。
まさにKダブ先生。
〜『説明不要-Mr.Drunk Remix-』〜
オリジナルも良いですが、RHYMESTERを客演に迎えたリミックスがおすすめ。
なぜなら、「宇多丸も踏みすぎ!」と楽しめて、「Mummy-Dのフローかっけー!」と三者三様の良さを堪能できるからです。
バラエティ番組「『ぷっ』すま」を観たことがある方なら耳馴染みのあるメロディも楽しめます。
「誰も真似のできないワザ、力の差はトピックの幅」
長く韻を踏むことも、短く細かく韻を踏むこともしつつ、内容も充実させています。
他のラッパーとの力の違いを見せつけています。
これ以上は”説明不要”。是非一聴を。
〜『キ・キ・チ・ガ・イ』〜
最後に一番の問題作。
「こんな歌詞書いて…命狙われない?」
が、初めて聞いた感想です。
ダブルミーニング(意味の掛け合わせ)を使った最高傑作だと思います。
「大手町の次 自動爆破」
声に出してみると、違った場所の爆破予告に聞こえます。
また、Kダブの歌い出しの部分も相変わらず踏みすぎて気持ち良いです。
「キキチガイ、でも意味近い、どう聞こえるかは君次第」
「罪悪感ありゃ耳痛い、無関心な奴には敷居違い」
このように韻を踏みながら意味を通してメッセージも伝える技術は、Kダブが唯一無二の存在だと思います。
Kダブシャイン、恐ろしいです。
まとめ
以上、Kダブシャインについて紹介しました。
上記の通り、Kダブは日本語で韻を踏むことの土台を作り、後のラッパー達に多大な影響を与えまし
韻を踏み続けるスタイルは廃れることなく、現在でもhip-hop界にレジェンドとして君臨し続けています。
hip-hopの力を信じ、hip-hopの与える影響を後輩に伝えるために奔走している姿は本当に格好いいです。