突如現れ、RalphやkZmとの共演、Redbull Rasenへの召集、Pop Yours出場と存在感を増す若手ラッパーJUMADIBA。
攻撃的なUKドリルのビートと独特のファッションセンスが強烈な個性を発揮しています。
そんな若手要注目ラッパーの一人であるJUMADIBA、楽曲から滲み出るダークな雰囲気も相まって、謎に包まれている部分も多いのではないでしょうか?
今回はそんなJUMADIBAについてリサーチして行きます。
JUMADIBAのプロフィール
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MCネーム | JUMADIBA |
---|---|
生年月日 | 1998年 |
出身 | 東京都杉並区出身 |
SNS | Twitter / Instagram |
名前の由来・読み方
JUMADIBAの名前は『ジュマディバ』です。
ラッパーネームの由来は、南アフリカ共和国の政治家・大統領であったネルソン・マンデラの愛称『マディバ』と本名にある『JU』という音を組み合わせたものであると語っています。
マンデラは南アフリカ共和国にあった人種間の分断政策であるアパルトヘイトを撤廃するために尽力した人物で、同国における初の黒人大統領、ノーベル平和賞を受賞するなど、黒人音楽からスタートしたヒップホップ文化の中でも重要な人物です。
現在アメリカ最高の社会派ラッパーと言われるケンドリック・ラマーも、南アフリカでのツアー中にマンデラが幽閉されていた島を訪問した経験がグラミー受賞したアルバム『To pimp a butterfly』の背景にあると語っています。
JUMADIBAの本名は公開されていませんが、後に説明する楽曲でも漫画から着想を得た『Assaji』があるなど読書家であることを想像させられると同時にヒップホップのルーツへリスペクトを持った、彼のインテリジェンスを示す名前だと言えます。
生い立ち
JUMADIBAは東京都杉並区出身です。
家庭ではビートルズやオアシスなどのイギリスのロックが流れており、レディオヘッドやビョークと言った音楽に傾倒していった事から、最初はロック少年だったと語っています。
またサッカー少年だった事から、オアシスのフロントマンであるギャラガー兄弟についても
「めっちゃサッカー応援して音楽やってる人っていうだけで持っていかれた」
とも語っています。
ロックやサッカーといったイギリスの文化に明るい方には、この影響がファッションや彼の音楽性などにルーツと呼べる深い影響を与えているのがよく分かるでしょう。
イギリスへ渡航経験があり、楽曲『Spike!』でサッカーの試合中に起こる観客の合唱をサンプリングするなど、生い立ちは色濃く彼の音楽を形成する要素です。
また、リリックにもサッカーネタが多い事もファンはニヤリとする要素でしょう。
家族
JUMADIBAの家族構成については不明ですが、音楽の影響は母親の影響が強いと語っています。
ヒップホップに本格的にハマったきっかけとして、母親が聴いていたブラックアイド・ピーズを挙げています。
ブラックアイド・ピーズはウィル・アイ・アムを中心にしたスーパーグループで、現在はソロ歌手として有名なファーギーも在籍していました。
踊りやすいヒップホップであったためか、それまでカニエ・ウェストを聴いていたもののヒップホップに取っ付きにくさを感じていたJUMADIBAも彼らを耳にした事からヒップホップに目覚めます。
また、母親は世界的なポップミュージシャンであるビョークが日本でDJをしていた際に連れて行くなど、相当音楽が好きな方のようです。
ファッション
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JUMADIBAのファッションも彼の趣味・嗜好が大きく影響しています。
サッカーファンである事、さらにオアシスのギャラガー兄弟が同じくサッカーファンである事の影響から、かつて彼らが着用していたようにアディダスやアンブロのセットアップ、サッカークラブのスポーツウェアを好んで着用しています。
これは彼の中心的なラップスタイルであるイギリスのヒップホップでも主流なファッションであるため、ファッションも含めて彼の趣味嗜好は現在の音楽性にとても適合しているものだと言えます。
また、彼の特徴的なある三つ編みを残した坊主頭というヘアスタイルも、アルゼンチンのサッカー選手であるロドリゴ・パラシオの影響であると言えます。
繰り返しになりますが、JUMADIBAの人生に大きな影響を与えたのはサッカーを中心としたイギリスの文化のようです。
JUMADIBAの過去・経歴
続いて、JUMADIBAのラッパーとしての経歴を紹介して行きます。
Hiphopを始めたきっかけ
ドクター・ドレーなどを聴きヒップホップに開眼したJUMADIBAは、19歳の時に自分もラップをしてみようと思い立ち始めたそうです。
きっかけはJUMADIBAが19歳の時、関西学院大学で映像の勉強をしていた時に、映像だけを作るのは自分のやりたい事ではないと思い、大学生ならではの時間がふんだんにある状況を利用して始めたそうです。
その時は後に楽曲『Dawn』での共作でも知られるMare Interno(マーレ・インテルノ)と一緒に、タイプビートを使ってiPhoneに録音していたと語っています。
タイプビートとは近年特によく聞く言葉ですが、有名なアーティストや特定の曲に似たテイストのビートを指します。
また、この経緯から、コロナ禍をきっかけにトラックの作成も独学で覚えた模様です。
ラッパーとしての経歴
2021年に自身初のミックステープ『Kusabi』をリリースしたJUMADIBAは、リリースパーティで観客のリアクションを肌で感じたことにより手応えを覚えたと語っています。
このリリースパーティに協力した古着屋・NOVOの加藤氏が主催する『K/A/T/O MASSACRE』に出演した縁から、彼の協力もあって開催された初めてのリリースパーティは『K/U/S/A/B/I MASSACRE』と名付けられました。
2022年にはRalphとの競作『Kick up』で勢いは加速し、冒頭のRedbull Rasenに召集され、さらには同年には大型フェスであるPop Yoursに出場と短い期間で驚異的な活躍を果たします。
そして2023年もミックステープ『Nobori-上り-』を発表、現在もYentownメンバーであるkZm、そしてRalphやWatsonとの共演などその勢いは止まる事を知りません。
ラップスタイル
JUMADIBAの音楽性は、先述の通りUKドリルというダークな世界観のトラックが多く、その上で比較的シンプルなフローによるラップするスタイルです。
一方でリリックは所謂ヒップホップ的なドラッグや不良性の強い歌詞は少なく、風景描写とストレートな感情の吐露が若者らしく、想像力を掻き立てる幻想性とどこか厭世的・刹那的な印象があるもののしっかり未来を見据えた力強さのコントラストが好印象です。
日本に限っての話をすると、所謂イギリスのアンダーーグラウンドなラップスタイルが定着したのはやはりRalphの功績がとても大きいですが、彼と度々楽曲を作るJUMADIBAの登場やJJJの最新アルバム『MAKTUB』によって日本独自の色があるドリルスタイルのラップが徐々に確立されて来たように思えます。
また、自分でビートを作る事からサッカー場の大歓声を入れたりと作品においては自分の世界観を作ることに非常に長けています。
Redbull RasenにてSIMI LABのOMSBによって作られた比較的典型的なブーンバップと呼ばれるタイプのビートにも対応していた事から、その素直なラップスタイルは幅広く色んなスタイルに対応できるでしょう。
最近の活動
2023にリリースされたアルバム『Nobori-上り-』も『UP』のPVが20万回再生目前と好調のJUMADIBA。
2023年はRalphの楽曲『Get back』に同じく若手の注目株であるWatsonと参加した事が特に話題になり、こちらは発表から4ヶ月経った現在で410万回の再生回数を誇っています。
また、kZmの楽曲に参加した『DOSHABURI』も発表2ヶ月で230万回再生、更にはRalphと参加した『DOSHABURI remix』では発表1ヶ月で100万回再生と、徐々に有名ラッパーとの仕事も増えてきた事から、まだまだ勢いは上昇しそうです。
8月30日に発表されたシングル『Naiya』も新しくムーディな面を見せた楽曲で、こちらもPVが一週間程度で6万再生に達している事から、これから更にいろんな動きを見せてくれそうです。
仲のいい人物
JUMADIBAが特に仲のいい人物について紹介していきます。
デビューから一緒に楽曲を制作したMare Internoを初め様々なアンダーグラウンドのラッパーと交流がある彼ですが、やはりこの二人を紹介しないわけにはいかないでしょう。
Ralph(ラルフ)
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グライム、UKドリルと言った日本ではメジャーではないスタイルで今やシーンの中心人物となったRalphは、JUMADIBAについて語る上で外せない人物でしょう。
楽曲『Selfish』を皮切りに存在感を示し、十分な実力を積んだ上での『ラップスタア誕生』優勝で日本語ラップ界の中枢へ乗り出した最重要人物です。
MC TYSONやC.O.S.A.と言った実力者たちとの楽曲制作も大きな話題になりました。
JUMADIBAとはかれこれremixを含め3曲を作成し、全てが大きな話題になっています。
Ralphは彼のことを「ジュマ」と呼ぶ事からも、親密な関係と言えるでしょう。
kZm
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Awichや MonyHorseと言った名だたるメンバーが所属するヒップホップクルー、YentownのメンバーであるkZm、『Dream chaser feat.BIM』や『叫悲』、『Teenage Vibe feat Tohji』など様々なヒットソングを持つ彼は、Pop YoursやThe Hopeと言った大型フェスの常連でもあります。
型に囚われない自由で新しいスタイルを求めるタイプなので、JUMADIBAとの制作も納得が行きます。
個人的な話になりますが、Ralph、kZmと同じく既存のスタイルに縛られない音楽を作るタイプであること、そして彼らの共通の知人である事から、Tohjiとの制作も今後あるのではないかなと勝手に期待しています。
オススメの音源
ここではJUMADIBAのオススメ音源を紹介していきたいと思います。
今回は敢えてJUMADIBA個人の作品に注目してみました。
Assaji
刹那的ながらも力強いリリックを不穏なビートの上で自由自在に紡ぐ、JUMADIBAのハードな部分がよく表れた曲です。
タイトルのアッサジとは釈迦の最初の弟子の一人で、手塚治虫による漫画『ブッダ』ではいつも鼻水を垂らしたキャラとして描かれています。
漫画のアッサジは死期を予告されるものの、死を恐れずその日まで生き抜いたキャラクターで修行中であった若き日の釈迦に大きな影響を与えた人物です。
アッサジの如く何も恐れず生きる力強さに満ちた曲だと言えます。
Spike!
JUMADIBA自身がトラックを制作したこの曲は最後までずっと鳴り響くサッカースタジアムでの大合唱がとても印象的です。
サッカー好きのJUMADIBAらしい発想であり、短いながらも若々しい勢いを感じるリリックとトラックが合って壮大な曲に仕上がっており、JUMADIBAの世界観を十分堪能できる一曲です。
Rainy
優しいメロディの上で繊細なリリックが美しい、JUMADIBAのソフトな部分がよく表れた曲です。
『Assaji』にも通じる刹那的な部分がこの曲ではとてもエモーショナルな世界を描写しながらも、リリックにはサッカーやゲームと言ったJUMADIBAの好きな文化や風景の描写がリアリティを感じさせる曲で、多面的な魅力が見ることができるのも彼の魅力だと言えます。
まとめ
今回はJUMADIBAについてまとめてみました。
力強いUKドリルのビートが彼のイメージとしては先行していると思いますが、ラップのスキルやストレートなリリックと多彩な魅力を持っているラッパーです。
また、多義に渡る音楽のバックボーンから本当に色んなスタイルの曲でラップできる才能を持っているので、SoundCloud上でも彼の作品を聴いてみると面白いと思います。
キャリアもまだ始まったばかりですので、これからどんな進化を見せるのか予測不可能な部分も楽しみなラッパーと言えるでしょう。